●ジャパンカップ
ジャパンカップはディープインパクトが国内戦でみせてきたいつもの勝ち方で勝った。最終コーナーで上手くウィジャボード(3着)を馬群に封じ込めたあの位置取りは武豊のナイスプレーだろう。
外国馬が2頭しか来なかったのは残念だが、招待レースとは言えレーティングから見て世界トップに近いディープインパクトをホームコースで負かせるとはどうにも考えづらい話だから仕方ないかもしれない。ただ、ウィジャボードが来たのはこのレースの国際的な立ち位置を評価する上ではありがたかった。どこに行っても大崩れしないウィジャボードの様なトップクラスホースの存在は、それに勝つにせよ負けるにせよ基準点になるわけで、ウィジャボードとの着差=世界基準点からの差と見ることができるからだ。
そういう意味ではドリームパスポート(2着)がウィジャボードに先着したのは前述のウィジャボードの直線での不利を割り引いても評価できるといっていいだろう。問題なのはフサイチパンドラ(5着)にすら先着されたメイショウサムソン(6着)で、流れが合わなかったのかなんなのか、次の有馬記念が現3歳世代の序列を考える上で重要なレースになると思われる ハーツクライは直線、ジョッキーが追うのを止めるぐらいの凡走。調教時からノド鳴りの症状を見せていたとはいえ、ユキノサンロイヤル(この馬が何故ジャパンカップにでられたのかわからないが)にしか先着できなかったわけで、報道されているようにこれ以上のダメージを避けるという意味では引退もやむなしか。今期前半のドバイやキングジョージでの実力は間違いなく本物であっただけに残念でならない。
コスモバルク(4着)は一体これで何度目かという程の直線でのヨレっぷりを発揮して審議対象に。そろそろこの馬に関しては騎手を変えて欲しいのだが。
●ばんえい競馬が終わる
ここのところずっと赤字体質だったばんえい競馬が、北見・旭川の撤退表明に続いて岩見沢も撤退を表明したことで、今年度いっぱいでの廃止が濃厚になった。
結局、公営ギャンブルをシビアに見ると施行者(この場合は各市)の財政に穴をあけるようなものの存在が許されるわけもないわけで、特にばんえいを運営していた市に財政的余力があるはずもなく、たとえそれが北海道の文化遺産と言えるものだったりしても今までのような開催は無理であるとあきらめざるを得ない。
しかし、ばんえいだけじゃなく、地方競馬であるホッカイドウ競馬すらいまのままでは数年後の存続が怪しいという有り様なのがつらい。ホッカイドウ競馬の場合は売れ残りの馬を走らせてその中から能力の高い馬を賞金の高い地区(南関東とか中央)の馬主に売るというある種クレーミングレース的な側面もあるだけに、ここが廃止されると馬産地としては重要な市場のひとつを失うということになってしまう。まあ、逆に言うと2歳の時点で有力馬は他場に買われてしまうため、3歳戦からはレベル的に上位が抜けた状態になってしまうので競馬としての魅力に欠けるという話も前々からあったわけだけれども。
まあ、そもそもばんえいもホッカイドウ競馬も黒字だったころから地上波TVの夜中にでも今日のダイジェストすら流さなかったぐらい広報面ではダメダメで、1年に1回ばんえいグランプリの中継があるぐらいなものであったし、長い目で競馬を見ようにもNARのサイトができるまでロクな情報がなかったものだから、黒字化に欠かせない長期的なリピーターの育成に完全に失敗していたと思う。
まあ、農水省にでも頼み込んでJRAからの金を投入して(当然JRAの支配も受けることになるが)馬産地競馬なり馬事文化としてのばんえい競馬を続けるというかなり薄い可能性もないわけではないが…。