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ソフトバンクからiPhoneが出るというプレスリリースが出た(
参照リンク)。このプレスリリースにはちょっと不自然な点がいくつかある。
・これまでiPhoneの地域でのキャリアが決まって発表される際には、Appleとその地域キャリアがリリース日をあわせて広告するのに、Apple.comには全くこの件が載っていない(2008/6/5 3:30(JST)現在)。
(UKでのO2との排他的(exclusive)契約の場合、
Appleのリリース。
O2のリリース。どちらもリリース日は2007/9/18。USでのCingularとの排他的契約の場合、
Appleのリリース。
Cingularのリリース。どちらもリリース日は2007/1/9。ドイツのT-mobileとのとき、フランスのOrangeとの契約のときも同様。)
・おそらく9日のWWDCでジョブスが発表してからリリースするという秘密保持契約が入っているはずなのに、ソフトバンクがこの時点で発表したこと。それと、ソフトバンクからのプレスリリースの異様な短さ(Appleや他国キャリアが出した際のリリースの内容と比較)。また、5日のソフトバンク新製品発表会でこの件についての質問をかわしたこと。Appleもソフトバンクも「プレスリリース以上の事は話せない」と言っていること。
これらを考えると、
・ソフトバンクはAppleとの秘密保持条項のギリギリの線を突いて今回の発表をした可能性が高い。
・仮にドコモかイーモバイル辺りがiPhoneを扱う契約が取れていたとしても、契約条項を普通に守っているとするなら現時点では「契約があるともないとも言えない」としか言えない。
・WWDC後に出てくるであろうAppleからの正式発表にExclusiveの文字があればソフトバンクとの1社契約になるのだが、ソフトバンクのリリースには現時点で排他的だの独占的だのexclusiveだのという文字がない。
・過去にAppleとの契約を正式なプレスリリースの形で先行発表した会社の例を知らない。Appleの情報管理の実績と契約条項に対する姿勢を考えると、何らかの処置をAppleがやってくる可能性がある。
それから一般的なことだが、
・WWDCで3G iPhoneが発表されてもすぐにキャリアで扱えるとは考えられない。料金プランは専用のものになるはずだし(Appleへ通話料のn%を支払う契約なので、専用契約にした方が簡単)、その料金プランやiPhoneそのものの扱いの説明を代理店レベルにまで行うのに時間が必要。またWWDCで発表当日に買えるようになっているなら、既に代理店レベルから情報が漏れてきても不思議ではない。Cingularの時には1月発表で実際にCingularで使えるようになったのは6月だった。ただし、既に現iPhoneを扱っているキャリアの場合はもっと時間が短縮される可能性がある。
そういう意味で、こんな形で発表しちゃって大丈夫なのかソフトバンクっていうのがあったりして。独占契約ならWWDCまで待って正式発表しちゃっても何ら問題ないはずなのに、こんな形で出してくるということは、日本では複数キャリアで出る可能性(海外でも先例あり)はかえって高くなったということか。WWDC後に複数社同時にリリースしたんじゃインパクトに欠けるから。
あと、マスコミ釣られすぎ。過去の経緯からこれが不自然なものに感じないマスコミを使って煽るのがそもそもの目的なんだろうけど、そこは見抜かないと。
個人的にはイーモバイルから出てくれると面白い。周波数帯の関係で実装するのがつらいかもしれないけど、戦略的な料金プランと今なら空いている回線帯域が魅力。
(補足)
他にも海外で通信キャリアだけが「弊社でiPhoneを扱うという契約を結びました。これ以上はお答えできません。」的なプレスリリースを出しているところが多数あるようだ。(例:singtel
プレスリリース)
ソフトバンクだけ3G iPhoneとリンクして考えてしまったのは、他の海外キャリアでは既にGSMでのサービスをやっているから3G iPhoneとのリンクを考えなくても良かったからか。
1社独占契約にならないところは、契約した時点でキャリアが「契約したことだけ」はリリースできるというアップルとの取り決めなのかもしれないな…。